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【INTERVIEW】ICI代表取締役 丹羽 健太さん「個性を活かす、組織力」

人は宝。 個性を活かす、 組織力の秘訣。

「ICIの強みは人でありたい 」
そう語る丹羽社長の表情は、穏やかで、愛に溢れていた。個性的なスタッフ達が築く、強い組織力の秘訣に迫る。

プロフィール

ICI代表取締役 丹羽 健太さん

前オーナーとの共同代表を経て、33 歳の若さで社長に就任。どの世代の意見にもしっかりと向き合い、常に新しい取り組みに挑戦。

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お互いが成長し、
支え合い、応援し合える
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ー確かな技術力はもちろん、「組織力の強さ」も注目を集めるICI。心がけていることはありますか?

「“人が宝” という心はスタッフ達に常に伝えています。美容師としてのブランディングや技術も大切ですが、僕らの仕事の根本は「人」。人と人が接する仕事なので、お互いの歩み寄りが、同じ方向を向く上で大切だと思います」

―その想いはどのような方法を伝えていますか?

「毎月の店長会議で伝える機会が多いです。売上の話もするけど、“下の子達にこういうことがあったとき、どんな言葉をかけるべきだったのか?” というような、人としての在り方を考えることに時間をかけます。僕、考え方を示すとき、青臭かったり、綺麗ごとっぽい表現をよくするんです。そんなに都合良く、上手くいかないからこそ“綺麗ごと”なんだけど、そこを僕が話して、皆が求めないことには、実現する可能性すら無くなる。四半期に1回、東京のスタッフ達も招集して全スタッフが集まる機会も設けているのですが、そのときも一貫性をもって、店長会議時に話す考え方や方向性を、同じ表現で皆に伝えています」


―自身から心をオープンにして、人と接している印象です

「自分の考えや想いを伝えるには、まず自分自身が心を開いて、思っていることを素直に伝えることが大切だと思っています。それに、何事も結果、愛でしかないと思うんです。ICIのみんなには、人に愛され、応援される人になってほしい。応援されることで努力できるし、成長もできる。スタッフ一人一人がそうなることで、お互いが支え合い、助け合える関係性が組織として築けると思います。もちろん、技術面のスキルアップも力を入れています。新人研修からデビューまでのカリキュラムをしっかり組んでいたり、一定の売上になるまで定期的に練習する機会を設けたり。あと、カラーやパーマ、アレンジなどが好きなスタッフ達が集まる「スペシャリスト」とチームもあります。自分達で講師やメーカーの方を呼んで、月1くらいで講習会や勉強会をしています。僕自身もそうなんですが、“井のなかの蛙” にはなりたくないと思っています。組織も大きくなってきたけれど、外から学べることや吸収できることはもっとたくさんある。新しいものを学ぶ姿勢は、常に持ち続けたいと思います」

若い世代に優しく、
上層部にこそ厳しく。
柔軟性こそ進化の秘訣。

―33歳で社長就任!経緯と理由を教えてください。

「28歳くらいの頃、会社全体に「5年後に社長を交代する」というアナウンスがあったんです。その当時、僕自身は地元の三重県に戻るか、このままICIで美容師人生をやりきるか迷っていて、ICIで頑張ってスキルを上げる道を選択した頃。社長交代の話を受けて、ICIにいる道を選ぶなら、トップを目指そうと思ったことがキッカケです。最終的に、僕ともう一人の方が社長候補に絞られて、オーナーの前でそれぞれ「10年後のICI」という提案をプレゼンしたんです。お互いのプレゼンを聞いた後、オーナーより先にもう一人の方が「社長は丹羽が良いと思います。僕が支えます!」と言ってくれて、僕が社長になることが決まりました。就任後も、その方や他の先輩方が支えてくださって、自分の責任や役割を分散しながら、集中すべき部分を定めることが出来ました。店長たちも、若い世代の意見や個性を上手くかみ砕いて、まとめてくれています。そのおかげで、色んなスタッフ達のカラーがMIXされながらも、一人ひとりのカラーも中心にあるような、幅のあるサロンに常に進化していると思います」


―「人としての魅力」がICIの魅力に繋がっているようです。

「笑顔が素敵だったり、気持ちよく挨拶してくれたり、「誰かのために」与える行動が起こせる人は、絶対にどのサロンや会社でも必要とされていくと思うし、魅力的だと思います。僕もICIのスタッフ達の、キャリアアップや未来に繋がるステップ、選択肢をたくさん形にしていきたい。それに、若い世代が人に教えることで成長できるように、新卒採用を通して、2年目の子に1年目の後輩をちゃんとつくっていってあげたいです。これまで、ICIとして“衣食住美” をコンセプトに、様々な取り組みを行ってきました。美容師が僕らの軸だけど、美容師だけでなくてもいいと思うんです。生活を豊かにする、“衣食住美” をつくっていくほうが自分達らしい。

そういった個性やコンセプトをより具現化した新店舗『PARK LANE ICI 』が7月に矢場町にオープンしたり、色々な取り組みが控えています。コンセプトとイメージさえあれば、場所に関係なく、自然と形が出来ていくと思っています。

まだ“いつか” の話ですが、過疎になりつつある地域や島に、これまで美容を通して繋がってきた人達と、ヘアサロンやグルメ、宿泊などが楽しめるリノベーションの複合施設を作れたら面白いなと思っています。外から人を呼ぶキッカケを作ることで、その土地に住む人にも良い影響が与えられるような取り組みに挑戦したい。そうやって、新しい人と一緒に、これからも循環していけたら嬉しいです」

撮影/鈴木啓司

取材・文/山田有真