今年で結成25周年を迎えた「THE BACK HORN」が、アニバーサリー作品として、リアレンジ・アルバムを発売!リアレンジに込めた想いやギタリストとしてこだわった“音の響き方”、待望の新曲「Days」の話まで、Vo.山田将司さんにたっぷりインタビュー!
▼THE BACK HORN公式サイト
https://www.thebackhorn.com/
―リアレンジならではの“新たな魅力”を堪能できるアルバム。過去の楽曲をリアレンジする上で意識した部分を教えてください。
「曲が元々もっている“旨み”のような、曲に込めた気持ちは壊れないようにかなり意識しました。なので、原曲のメロディーと歌詞、世界観はしっかり残しています。今回のリアレンジを映像に例えると、「カメラアングルを変えました」というイメージです。オリジナルはズームだったけど、リアレンジは俯瞰で撮影したような感覚です」
―収録曲はどのように決めたのですか?
「ファンクラブイベントのミニライブコーナーで、楽曲をアコースティックアレンジで演奏する機会があって。そのときに披露していた曲が多く収録されています。イベントでは、ファンの皆さんに喜んでいただける曲をセレクトしていたので、シングルなどの表題曲からアルバム収録曲まで幅広く楽しんでもらえる選曲になっていると思います。「夢の花」、「罠」、「美しい名前」はイベントでアレンジして披露したことはなかったので、今回のアルバムのためにリアレンジしました」
―1999年発売のインディーズアルバムに収録されている「冬のミルク」が、1曲目に収録されていることにもシビれました!
「曲順はDrのマツ(松田晋二さん)がベースを考えて、みんなで話し合いながら決めました。最後は新曲「Days」で締めることは決めていたので、3曲目は聴かせるような曲、中盤は「ファイティングマンブルース」とか現実的な雰囲気を濃く演出できる曲、という流れで、「Days」までの曲順の構成を考えていきました」
―「冬のミルク」をリアレンジする際、感慨深さなどを感じる瞬間はありましたか?
「収録することを決めた時はありましたね。10周年の時にリリースしたベストアルバムでもリレコーディングしているのもあり、今回は中途半端に変えるより、ガラッとリアレンジしようという話は最初からしていました」
―その結果が今回の「冬のミルク」なんですね!
「そうですね!実は「冬のミルク」だけ、今回の収録曲のなかで唯一、イントロが原曲と4小節だけ同じなんです。ドラムもギターも音色は違うけど、原曲と全く一緒。そこから始まって、イントロの5小節目、そして2曲目以降からは原曲と全く違うつくりになっています」
―その演出も粋ですね…!今回、山田さんはボーカルだけでなく、“ギタリスト“としてもアルバムに携わっていますね。
「そうですよ、Gt&Voです(笑)全曲、アコースティックギターのアレンジも自分で担当させていただきました。原曲とは全く違うコードをおさえています。カポタストで4カポしてGをおさえると、ローコードのCの音になる。そうすると1弦高い音が出てくるので、普通のギターでローコードを弾く時とは違う響きの音が出て、音の幅が広がるんです。Gmaj7(ジーメジャーセブンス)のおさえ方をして、ふんわりとした音にしたりとか…。色々試しながらアレンジしました」
―ギターアレンジはいかがでしたか?
「楽しかったです!曲作りをしているときに、2本目のギターを入れているような感覚でした。今回のアルバムもリモートで収録したんですが、レコーディングの順番的に、出来上がりのオケを聴くのがアコースティックギターと歌のレコ-ディングタイミングだったんです。なので、各メンバーのアレンジが完了したオケを聴いて、“この音が鳴っているなら、俺はこのコードじゃない方がいいな…”という感じで、0カポにしていたのを4カポに変えてみたり。ドラムのストロークのリズムもあるので、右手のリズムをアクセントに合わせて弾いた方がいいのか、そのアクセントと違うリズムで弾いた方が曲全体が膨らんでいくのかなど、歌入れと同時に色々アプローチをして、曲を仕上げていきました」
―どの収録曲も個性豊かなリアレンジが魅力的!3曲目の「光の結晶」では、原曲にはない“爽やかさ”がとても印象的でした。
「とても爽やかな雰囲気ですよね。この曲では、リズムをシャッフルさせて、跳ねさせて、ポップな感じにしても良いよねという話をしていました。間奏も変拍子から4/4拍子に変わっています。原曲がギラッとした太陽の光なら、こちらは穏やかな光。25年経って、ギラつく光だけでなく、穏やかな光も信じられるようになったという気持ちも込められています」
―「罠」のビックバンドジャズ的なアレンジは、山田さんのアイディアと聞きました!
「「罠」はTHE BACK HORNが世間に周知していただけるキッカケとなった曲なので、この曲がもっている“怪しさ”は残したいと思っていました。大人達が危ない遊びをしているような雰囲気を出したいなと。最初からリズムとクラップから始めたいと思っていたので、イントロのギターのフレーズの上に、どういうリズムをのせていくかを考えていきました。そこから色々引き算をして、間奏の頭はギター以外全部抜いてみたり、雄叫びを途中で入れてみたり、レコーディング中に色々取り入れていきました」
ー山田さんの様々な“声の表情”も聴きどころのひとつだと思いました。ボーカルとして意識した部分を教えてください。
「昔からレコーディングする時は、“このオケに、この歌をどういう立ち位置で存在させるか?”ということを意識してきました。今回については、「ギターの音色と共に“叫ぶ”」以外の方法で自分を試し、勝負したかったという想いもあります。当時の歌詞を今の自分はどう解釈するのか?、昔は表現できなかったニュアンスや歌の表情を今の自分はどういう気持ちで表現することができるのか。色々と挑戦してみたい気持ちがありました」
―ボーカル目線で手応えのあった曲はありますか?
「「ファイティングマンブルース」ですね!歌詞のメッセージ性が今の自分にスッと入ってきて、いいテイクがとれた曲です。あと、「罠」も印象に残っています。実は「罠」のイントロのフレーズには、世界中の弦楽器の音が10個くらい入っているんです。歌入れの時点でオケを聴いたので最初は驚いたけど、この曲に込めた、「命」とか「争い」とか大きなテーマの曲に対して、世界中の音を入れてきたというのは、このアレンジを提案した栄純(菅波栄純さん)もメッセージを込めてきたなと感じました」
―新曲「Days」は、作詞を松田さん、作曲を山田さんが手掛けています。どのように仕上げていきましたか?
「「Days」は、ファンの皆さんと一緒に25周年を祝福するような、アニバーサリー感が漂う曲にしたいとメンバー全員で意識していました。今回のアルバムはアコースティックが主体となっているので、感謝の気持ちがこぼれ落ちるような雰囲気にしたいと思って、俺の方からメロディーを作って、マツに渡して仕上げていきました。コーラスを入れることで感謝の想いが伝わるようなメロディーをつくってみたのですが、そこにマツがまた良い歌詞をのっけてくれて、すごくいい感じの曲に仕上がったと思います」
―現在、本アルバムのリリースツアー中!また、10月13日(金)からは「THE BACK HORN 25th ANNIVERSARY TOUR」がスタートします!
「アルバムリリースツアーは、リアレンジアルバムということで、今までにないTHE BACK HORNが見られると思います。リアレンジの曲がメインですが、僕たちもイスに座りながら、キーボードの方を入れて、5人編成で演奏するので、新鮮なライブになると思います。ANNIVERSARY TOURの方は、いつものスタンディング形式で、アツいライブになると思うので、是非、25周年を祝福しに来ていただけたら嬉しいです!」
◆撮影・衣装協力
PEDESTRIAN(@pedestrian_nagoya)
https://www.pedestrian.jp/
<山田さん着用衣装>
Fire Flower Pattern S/S SHIRT(GOOD HELLER)¥28,600、Pleated Trouser(HIDEANDSEEK)¥19,800
結成25周年を記念して制作されたリアレンジ・アルバム。メンバー自らが12曲を厳選し、様々なジャンルの音楽要素を取り入れ、大胆に編曲を加えることで原曲とは異なる趣を演出。新たな解釈によって再構築された12曲は色彩豊かな世界観を生み出している。また、今年初となる待望の新曲「Days」も加えられ、ファンへの感謝が込められたアニバーサリーイヤーに相応しいアルバムとなっている。