Feature

特集

【INTERVIEW】boys in the band松野紘士「セレクトを極めたオーナーの本気の私物」

鋭い審美眼で唯一無二のセレクトを してきた松野さんが今欲しいモノ。

プロフィール

boys in the band オーナー 松野紘士さん

ブランドや服に熱量が当たり前になったからこそ、最近はライフスタイルに関わるモノに興味がシフトしている松野さん。時計のほか、私物として持ってきた財布は、お気に入りの「CILANDSIA」の絵を生地に起用したこだわりアイテム。生地に使用された絵は、「CILANDSIA」のデザイナーからプレゼントされたもので、松野さんの部屋の一角にディスプレイされているそう。

この時計、400万!?

―これまで数々のブランドやアイテムと向き合ってきた松野さん。今日は、大切にしている私物を持ってきていただきました!ありがとうございます!

今日持ってきたのは、20年以上前に名古屋パルコの『A.M.I』で購入したアンティークのロレックス1016です。購入当時は50万円くらいだったけど、今は200〜400万円くらいの価値になっていると思います。


―めっちゃ高額ですね!なぜ、そんなに価値がついているんですか?
ロレックス自体が製品の飽和を防ぐために、今生産を抑えているのも影響していると思います。すっきりとしたデザインや、風防ガラスなどにアンティークならではの味を感じています。人と被る時計を選びたくなくて、高校生の頃、G-SHOCKのスクリューバックのスピードモデルも買いました。それもプレミアがついているけど、今はもう手放しちゃいました。

服への情熱や熱量が
当たり前になった今、
興味を惹かれるのは、
居住空間や生活。

―服やファッションにこだわりがある方が「手放す」という選択をすることが意外です。

僕も昔はモノを手放せないタイプだったけど、お店を始めてから3〜4年目くらいに“手放すこと” を選ぶようになりました。
―それはなぜですか?
昔、BERBERJINの前田さんと呑んでいたとき、彼もモノを“手放すこと” を選んでいることを知っ
たことがキッカケです。モノを集めていそうな方なのに、すごく意外だなと思いました。その頃から、“持っていること” に対して、“背負っている” ような感覚を抱くようになって。徐々にモノを手放して、もっと欲
しい人の手に渡ればそれでいいと思うようになりました。手放しても、もっと面白いものを見つけられる自信があるし、常に一番面白いものを身に付けたい。だからこの「ロレックス1016」も400万円の値がついてるけど、手放すチャンスがあればサクッと売ります(笑)。

すごく好きな時計ではあるけど、僕自身の“好きのピーク”は20年前だったので。10代・20代の頃はめちゃくちゃ服を買っていて、その延長線で服屋を始めました。僕がモノを手放せなかったのは、まだそういう感覚が残っていたからと思います。今は自分のお店に置いている服を第一に着ようと思うから、服は研究材料として買うくらい。他のお店で服を見て、自分で買って着る事が悔しいのかも(笑)店を始めた当初、ブランドの服を仕入れる事に苦労したから、自分の店に置いているブランドに対して想いは強いですね。

色々飢えてたんだと思う(笑)
貪欲に探して、挑戦して、
たくさん失敗してきたから、
面白いものを探す自信がある。

―その時の苦労が、『boys in the band』さんの強みである、唯一無二のブランドセレクトに繋がるんですね。

そうですね。最初は塩釜口でお店を始めたんですが、並べたいブランドの服は他店舗で展開していることを理由に置くことがほとんど出来ませんでした。面白くて、どこにも置いていないようなインディーズのブランドを必死で探して、ブランドやデザイナーに直接交渉して、ひとつずつ地道に組み立てていきました。当時はSNSもなかったから、毎週のように東京に通って、合同展示会に参加したりして、最新情報は“足” で稼いでいました。若手ブランドだと1シーズンに3回くらい展示会をやるから、深夜バスに乗って、1シーズンあたり10回くらい東京に通い詰めていました。
―色んなブランドを探してきて、“発掘代表作” みたいなブランドはありますか?
「April77」ですね。スキニーデニムのパイオニア的なブランドなんですが、僕が店に置いた当時はあまり名古屋に置いていないブランドでした。あの頃はとにかく必死で失敗もたくさんしたけど、そのおかげで「このブランドは伸びるかも」とか「ここのブランドは扱った方が良いかも」という感覚が何もしなくても分かるようになったと思います。


―印象に残っている失敗はありますか?
色々あるけど、一番は無理して“良いブランド” を入れることを選んだ時かな。すごくセンスのいい人気ブランドほど、やっぱり仕入れ額の最低ラインが圧倒的に高い。無名の服屋には厳しい額だったし、売れる保証もないけれど、少しでもお客さんの興味を惹くキッカケになってくれたらいいなと思って、無理をしてでも自分がカッコイイと思ったブランドを入れていました。毎回、死ぬか生きるかのチャレンジの繰り返しだったけど、僕にとっては面白いブランドを並べること
が一番大切だった。店同士のブランドの取り合いも激しかったし、売れ残った在庫処理に苦労することもあったけど、すべてが今に繋がっていると思います。

撮影/鈴木啓司

取材・文/山田有真

boys in the band

SHOP DATA

店名

boys in the band

取扱ブランド

KIDILL | rurumu: | kill remote | Chloma | el conductorH

カテゴリー

セレクト | アクセサリー | メンズ | レディース

Tel

052-262-3226

営業時間

12:00~20:00

定休日

水曜定休

住所

名古屋市中区栄3-28-117

リンク